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勝負の決着は如何様にして付くのか
「お……折りやがった……!」
山下は震えていた。
「信じられん……」
無論、柔道にも『関節技』はある。
だがそれは相手の『腕を折る』事を目的とするのではなく、相手からギブアップを奪う、つまり相手の『心を折る』のが目的なのだ。
現実に肘を破壊するまで捻る『腕十字』なぞ、見たことも聞いた事もない。
だが。
現実として、楠の左腕は『本来、曲がる方向では無い方向』に大きく曲がっている。どう見ても『肘が折れている』としか言いようがなかった。
「勝負……あったか……」
ふぅ……と息を吐き、山下が二人に近付こうとする……が。
未だ桜生は、楠の折れた腕から手を離そうとはしていない。
そして何と。あろう事か『その腕』を楠の背中側に、グイ……と捻り回したのだ。
「ぎゃぁぁぁ!」
再び、楠の絶叫が轟く。
「おいっ! 何をしている、止めろ! 決着はついたじゃねーか!」
思わず、山下が声を荒げる。
「……『決着』……だと?」
尚も腕を離さないまま、ジロリ、と桜生が山下を睨んだ。
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