勝負の決着は如何様にして付くのか

2/5
前へ
/154ページ
次へ
「いや……『決着』は着いて無い……オレもコイツもまだ『生きて』いるし、コイツの口からも『参った』の声を聞いておらん……単に、コイツの腕が片方、使い物にならんくなっただけよ……」 「何だと……」  山下の足が竦む。  確かに。絶叫こそ上げるものの、楠は『参った』とは言っていないが……彼らの『決着』とは『そういうもの』なのか!  だがしかし、戦国の世ならばいざ知らず、現代の規範では『これ以上』を見逃す訳にも行かない。 「おいっ! 楠、『勝負あり』だ。もういい、もうギブアップしろ! これ以上ヤったら本気で殺されるぞ!」  しかし、楠は唇を噛み締め、必死でこの腕殺しに耐えている。 「くそっ……たれめ……誰が……誰が『参った』なんてするかよ……部員達が……大勢の後輩が大怪我させられたんだ……これしきの事で降参する訳にゃぁ、いかないんだよっ!」 「楠っ……!」  なるほど、『心は折れていない』のだ。もしもこの状況で『勝負あり』として桜生が腕を離してしまえば、間違いなく楠の反撃に遭うだろう。 そうならないように、徹底的に相手の『心を折る』。そういう戦いなのだ、と山下は理解した。  とは言うものの。  どうしても楠が『ギブアップ』と言わなければ、桜生はどうするだろうか。  何時までも腕固めをしていても埒が開かない。であれば、更なる破壊技を仕掛けてくるのは容易に想像が出来る。 「……させて、なるかよ!」
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加