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絞め殺す気だ……。
この時、楠は心底、桜生を恐れたと言う。
如何なるタブーとて、この男には存在しない……と。自分に刃を向ける者は、如何なる者と云えど一切の容赦をしないのだ。
「くっ……此処までか……」
ギリ……と楠が畳の井草を握った。
「分かった!ボクの負けだ!頼む、勘弁してくれぇぇぇ!」
自分の事なら、いくらでも耐えられる。だが、その余波で周りが傷つくのを、これ以上看過する訳にはいかなかった。
或いは『その心の動き』も桜生の戦術の内であったのか。
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