104人が本棚に入れています
本棚に追加
「おまえら、このボウズはなあ、はぐれ〈狗〉に見えるけど、シヅエんとこと通じてんだよ。そのへんのけじめはきっちりつけろ」
売り子たちは、とたんにしゅんとなった。小梅は再び、リョウに向き直った。
「おまえも、何も考えてないみたいだけど、あんまし他の群れに近づくとシヅエからもよく思われないぜ。でも、今日はホントに助かったよ。ありがとな」
ちょうどその時、小梅の後ろに葉木がやってきた。もう白衣は脱いで、Tシャツとジーンズに着替えをすませている。
「おい、行くぜ」
リョウは思わず左右を見、それから自分を指した。
「えっ、ぼく?」
「ったりめーだろ。ほかに誰がいんだよ」
たくさんいるけど、と言いかけてリョウは、この場では葉木と自分だけが小梅の「群れ」に属していないことを思い出した。
リョウは売り子の三人娘に惜しまれながら、葉木とともに裏口から外へ出た。
最初のコメントを投稿しよう!