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「ま、ちっと真面目な話すりゃあ、〈狗番〉てのは〈狗〉に何をしたら何をされるか、わかってるはずだ。で、わかった上で覚悟して〈狗番〉をやってるはずだ。あんたがそれが我慢ならないってんなら、倭加宮の嬢ちゃんに引退を勧めるこったね」
小梅は、言葉に詰まっているリョウの手をとって、おひねりを握らせた。
「あと、部屋をめちゃめちゃにしたのはあっちな」
と、肩越しに親指で後ろを指す。その先では葉木が、デッキブラシで店の床をガシガシとこすっていた。
「……そうだったね。ごっちゃにしてごめんなさい。〈狗〉と〈狗番〉のことは、まだわからないことが多いけど……あ、そうだ、開店おめでとう」
「あっはっは。おまえホント変なやつだな。ま、気が向いたら今度は客として来てくれよ」
小梅の言葉に、成り行きを見守っていた売り子たちが即座に反応した。
「ええっ、これから毎日シフト入ってくれるんじゃないの?」
「一家に一台氷碕リョウでしょ」
「看板王子ぃ〜」
「うるせえだまれ!」
小梅が一喝した。
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