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さよみは書類をまとめて封筒に入れた。それから今度は、リストのようなものが白黒で印刷された一枚の紙を出した。
「もう一つのご用件の手助けになるかと思います。全て、うちの関連のところです」
リョウはその紙を受け取って、感嘆の声をあげた。
「へえ、こんなにあるんですね」
その目が、リストのある箇所に釘付けになった。
紙が破れそうな勢いでそこに指先を突きつけ、机の上に身を乗り出す。
「ここ! ここでお願いします」
「早いですね」
さよみは苦笑したが、リョウの指先の文字を見ると、眉を寄せた。「あら、ここって……」
「だめなんですか」
リョウの口調は切実だ。さよみは、うーんと唸った。
「いずれにしろ、頭領の許可をいただかなければなりませんので」
「ぜひ、お願いします」
リョウは真剣な顔で迫った。
「強いご要望があるということは、お伝えしておきます」
さよみが冷静に言うと、リョウも少しクールダウンした。姿勢を戻して
「ありがとうございます」
と言った。
さよみは、リョウが示したところに印をつけてその紙を預かった。それから、同じものを新たにプリントアウトしてさっきの封筒に一緒に入れ、彼に渡した。
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