天ノ狗（アメノキツネ）３

序章

〈狗(きつね)〉

　因子を持った人間が、思春期に生命の危機に陥ったとき、〈目醒め〉を経て〈狗〉となる。〈目醒め〉の際には身体能力と五感が極限まで拡張される一方、精神は暴走する。そのとき、近くにいる〈狗〉が〈導き手〉となって、暴走する精神を戻してやる。目醒めた〈狗〉は否応なしに〈手下〉になる。
　〈導き手〉と〈手下〉の上下関係は絶対的なもので、これにもとづいて強固な〈群れ〉が形成されている。

　〈狗〉は磁気をあやつり、超人的な身体能力をもち、不老長命である。長く生きた〈狗〉は、〈天(あめの)ノ狗(きつね)〉となって、〈根の国〉に行く。