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1.船の上で観光案内(またの名を説明回)
ハーモニック連合国のほぼ中央に位置する、アルシャシード州。
その州には、領土の二分の一を占有する【ミトラダ海】という不思議な湖が存在していた。
ミトラダ海は大陸に在り、海に面していないのだが、その湛える水は塩辛い。
そんな海の上にぽつんと存在しているのが、パルティア島である。
パルティア島はミトラダ海の中央に在り、火山が鎮座するそこそこ大きい島だ。その為か温泉も湧き、南国の色鮮やかな花が絶えず咲き誇っている。もちろん水も豊富で、パルティア島はラッタディアと並ぶ湧水都市として世界に知られていた。
島民は観光地である島を誇りに思っており、島民全てが外からの客を「宝客」と呼んで歓待を尽す。博愛と美食を好む彼らは、島外の者を島の恵みで蕩けさせるのを喜びとしているのだ。
この事から、パルティア島は間違いなくこの世の楽園と言える場所だろう。
……以上、パルティア島へ渡し船を出す港の立て看板より。
とにかく平和で不思議な場所だって事だよな、多分。
今俺達を渡し船で運んでくれているおじさん曰く、パルティア島は「癒しの島、地上の天国」……との事だから、本当に凄く良い所なんだろう。
「あすこはな、モンスターはいねえしメシも酒もうめえ。それに、島の女はみんな薄着なんだ。白い布にベルトだけだぜ? 雨が降れば、そりゃー素敵な眺めが広がるんだよ。美女ばっかりだし目の保養にもなるし、本当いう事ねぇ島だぜ」
えらい褒めようだが、おじさんの気持ちは痛いほど解る。
いいよね、夏の雨とかに降られた女子の制服にうっすら透けるブラ。透けブラ。
いや、この場合はブラが無いのだろうか。直か、直で透けてるのだろうか。
そりゃ一大事だ。パン食ってる場合じゃねえ。
「ち、ちなみに雨の日は……肌色スケスケですか」
「おうスケスケだともさ」
「見てたらビンタされませんか」
「パルティア島は観光地区と居住区が分けられててな、お客さんが来る観光地区の女は寧ろ見せつけてくるさ。なんたってパルティアは島全体が娼館みてーなもんだからな。上手くやりゃあどこでもヤり放題よ」
アーッ、まじかよ! 後ろでずーっと不機嫌なオーラ出してる中年がいなかったら、是非お頼み申したかったー!
本当あいつが居なかったら俺だって今頃はもう脱童貞してたのにな畜生!!
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