3.島の名物とおひとり散歩

5/5
112人が本棚に入れています
本棚に追加
/267ページ
  「…………あれ?」  ロープの向こう。保護区とされている場所に、なにか人影が見えた。  いや、影じゃない。はっきりと人が見える。  じっと見つめてみると、それは大柄でブラックと同じ位背の高い男だと言う事が判った。密集した木々に遮られて服装までは解らないが、紫がかった黒に近い青髪と、浅黒い肌は木漏れ日に照らされてはっきりと視認できる。 「作業員とか、監視員かな」  それにしては、肩口まで伸ばしたボサボサの髪はおかしいけどな。  なんか、森で暮らしてる野人みたいだ。と、思ってたら、相手は俺に気付く事も無くふらふらとまた森の奥へ入って行ってしまった。  ……本当に監視員かな。  あれってもしかして、通報した方が良かった系?  でも、手ぶらだったし……泥棒だったらもっとコソコソしてるよな。  色々考えたけど、結局見て見ぬふりをする事にした。  警備隊に知らせてたら帰るのが遅くなるし、ブラックに心配させちまうもんな。あのふらふらした様子なら監視員に捕まるだろう。つーか面倒事はごめんだ。  遅く帰ったら何されるか解らないし、この島では絶対そう言うの嫌だからな。  俺はバカンス楽しみたい。休息がしたいんだ。  と言う訳で無視! 無視決定! 「さて、早いうちに帰らないとな。回復薬も作りたいし、やる事は色々あるぞ」  ロクやブラックの様子も気になるし、変な事考えてないで早く帰ろう。  気にはなったが、考えても仕方ないと自分を制して、俺は街へと戻った。 →  
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!