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「ふむ……やっぱサツマイモっぽくはならないけど……しっとりしてて柔くてこれはこれでウマいな。お茶かコーヒーが欲しい。焼いたのも一応作ってみるか」
軽く焼き目がつくまで鉄板の上で転がしてから食べてみると、表面は少し硬めになり、中が柔らかくなってさらに美味くなった。甘味も増したし、焼いた方が良いなコレは。試行錯誤してみた甲斐が有ったぜ!
「あのー……」
「ん? あ、料理長さん。すんません使わせて貰って」
「いやそれは良いんですが……その料理は一体なんなのですか……?」
いつのまにか厨房の外に居た若い料理長が、恐る恐る俺に近付いて来る。
その目は確かに俺の芋団子に向いていて、相手の言わんとする所を全て理解し俺は芋団子を差し出した。
「これは芋団子って言います。沢山あるんで、一つどうですか?」
そう言うと、料理長は一瞬戸惑ったものの、ゆっくりと芋団子に手を伸ばした。
暫くしげしげと眺めたり匂いを嗅いだりしていたが、やがて思い切ったように口に投げ込む。そうしてモグモグと咀嚼して、料理長は目を見開いた。
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