1.船の上で観光案内(またの名を説明回)

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   一応、ラッタディアにも医療施設はあったんだけど、ブラックの野郎が断固拒否したんだよな。金が掛かり過ぎるので、冒険者や一般人はおいそれと通えないって言ってたけど……今の俺達にはそこそこ金が有るし、そんな言い訳は通用しない。  多分、ブラックは他人に体を診て貰うのが嫌いなんだろう。  だけど、そんな事言ってたら治らないし後遺症が心配だし……。  なので、気分のいい場所で良いお医者さんに診て貰うのなら、大人しくしてくれるんじゃないかと思ったのだ。  ロクは別段悪い所は無い……と思うんだけど、最近前よりも寝ている時間の方が多くなって心配で仕方ない。ラッタディアにはモンスターを診てくれる所が無かったから期待薄ではあるけど、こちらも聞くだけ聞いてみようという訳だ。  俺の懇願するような言葉に、おじさんはしばし首を傾げていたが……何かに思い至ったのか、顔を明るくして俺に向き直った。 「おう、確か島には世界でも指折りの医者がいるぜ! サリクって名前で、温泉街に治療院を開いてたはずだ。なんでも優秀な水の曜術師とかで、馬でもネズミでも診て治しちまうってさ。だから、ついでにそのヘビも見せてみたらどうだ」 「マジっすか、ありがとうございます、行ってみます!」  やった、これでひとまず安心だぜ!  お金はシアンさん持ちだし、旅を続けるためだと言えば、ブラックも今度は拒否出来ないだろう。じゃなけりゃ、泥酔させて引っ張って行ってもいいな。  とにかく元気になって貰わないと不安でしょうがない。  ……いや、不安になってとかじゃなく。あれだ。このまんま後遺症とか残ったら旅が困難になるし、俺だってまだ強い訳じゃないし。  だからだな、まあ、そういう事だ。  とにかく、島に到着したら宿屋に直行して治療院に行こう。善は急げだ。 「おっと、お客さん方、島が見えて来たぜ!」  そう言われて前方を見やり、俺は思わず声を漏らした。 「うわぁ……あれって……密林?」 「あの真正面にある神殿は……遺跡かな。本当凄い場所だね」  
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