5.はじめての飲料と守護獣の闇

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   頭を撫でてやって、俺は街を散策しながらサリクさんの診療所へ向かった。  やっぱ観光客も多いなー。観光案内本を確認してみると、島には公衆浴場の他にも色々と名所が有るらしい。海岸やら砂浜やらもあってまさにリゾートだ。確かにこれは観光したくなるわ。  うーん、ブラックの足が治ってたら一緒に行ったんだけどなあ。  ……いや、別に、一緒に居たいとかじゃないぞ。  俺一人が楽しんだら悪いじゃん。今までずっと一緒に居たんだし、わりと迷惑かけたりもしてるから、そう言うのはアレかなと思って……。 「っていうか……ブラックも今はヒマなんだよな」  俺はロクと散策を楽しんでるけど、ブラックはいまベッドの上だ。  酒のみ勝負がやりたいって言ったのも、退屈からだったんだろうか。だとしたらちょっと可哀想だな。もう少し優しくしてやった方が良かったかな。 「せめて酒はちょっとフンパツしてやろうかなあ……」  あいつオッサンだからきっと酒は大好きだろうし、(おだ)てて飲ませりゃ勝負なんて関係なくなるだろう。酒だけって言ってたけど、つまみとか買おうかな。  父さん何食ってたっけ。するめとか? この世界にするめあんのかな? 「シャーッ!」 「うわっ、なに、ロクどうした?」  色々と考えてたらいきなりロクが威嚇したので何事かと思ったら、俺の周囲にはいつの間にか数人の男が集まっていた。  おう。このパターンは。 「は、ははは、キミえらく珍しいモンスター飼ってるね……」 「へっ、だ、ダハくらいなんだい! なあ可愛い子ちゃん、俺と一緒に浴場めぐりしないかい?」 「島の事は地元民の俺が教える! さ、こんな奴らは放っておいて……」  ええ……お兄さん達いつのまに俺を取り囲んでたんですか。考えごとしてたから全然気付かなかったんすけど。  ロク、俺を守るために威嚇してくれたんだね、ありがとう。   「昨日はお父さんがいてナンパ出来なかったけど、今日はずっと一人だけだったし行けるかと思って」 「お前っ、俺が先に目ェつけてたんだぞ!」 「それなら僕はこの子が港に降りた時から……」 「なにを」 「私だって」  あの、お兄さんがた。俺を放っておいて勝手に盛り上がらないで。  ていうか島に降りた直後から見てたってそれストーカーじゃないんすか。  
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