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「ふむふむ……やはり体調はすこぶる良いですね。昨日何か食べさせましたか」
「あ、はい。蜂蜜とかハナヤシの入ったイモの料理を……」
「それは栄養がありますね! なるほど……それでロクショウ君の体には昨日より強い脈動が生まれておるのですな。ふーむ、ダハとは本来このような体の造りなのか……ふむふむ……」
なんだか学者モードに入ってロクをじっと観察しているサリクさんに、俺は不安になって問いかけた。コータスさんみたいになっちゃ困るぞ。
「さ、サリクさん?」
「おお、申し訳ない。とにかく健康には違いないですよ。栄養が必要であると言うのはこれではっきりしたので、これからもご飯を食べさせてあげて下さいね」
「分かりました、ありがとうございます」
ダハのロクショウが属してるサーペント種も診たってだけあって、サリクさんの断言は信用できるなあ。確かにロクは元気みたいだし、心配しても仕方ない。
俺は自然のなりゆきに任せて、出来るだけ世話をしてやろう。
今まで沢山助けて貰ってるんだから、それくらいはやんないとな。
「しかし……本当に不思議だ。ヘビと言われるサーペント種は凶暴で人に懐く事も少なく、連れ歩くには守護獣にする事が絶対条件なのに……ロクショウ君はこんなに君に懐いているとは」
「ロクとは森で出会って、危ない目に遭ってたのを助け合ったんです。だからかな、恩返しのつもりで付いて来てくれてるみたいで」
あの時……エロ触手ことアンプネペントと出会った時、俺はロクを助けた。
打算もなくただ必死にやった事だからこそ、ロクは俺に歩み寄ってくれたんだろう。今となっては無謀も良い所だが、結果としてロクと一緒に居られるようになったんだから何も言うまい。
サリクさんは俺とロクの出会い話を興味深げに聞いて、感に堪えないとばかりに何度も深く頷いていた。
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