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「なるほど……しかしそう言う例は稀だ。普通は、戦って勝ち、相手を組み伏して主従関係と言う物を示すんだ。……それがモンスターと人との決まりだからね。もしかしたら、君にはモンスターを理解できる特別な資質が有るのかもしれない」
「資質っすか」
「本当に珍しいが、たまにそんな人がいるんだよ。まあ守護獣になれば人と分かり合うモンスターもいるが……それはあくまでも、戦って打ち負かしたからこその物だからね。例えモンスターが相手を認めなかろうが、契約してしまえば従わざるを得ない。それは恐らく……君達のような信頼関係とは別の物だろう」
「…………」
深刻そうな声が何だか気になって、俺はサリクさんから守護獣の話を聴いた。
モンスターを守護獣にする方法や、その「従わせ方」まで、色々。
……守護獣ってのは、まず、負かしたモンスターに首輪を付ける事で成り立つ。その首輪っていうのはいわゆる「孫悟空の頭の輪」みたいな物で、人間に逆らえば容赦なく縛められる強力な曜具だ。
負けを認めて自ら首輪を付けるモンスターもいるけど、大半は気絶させた相手に首輪をはめて、契約を迫るのだと言う。
契約すると首輪はモンスターの血を吸い、曜術によって従順にさせてしまう。
従順にとは言っても、元から持っていた性格は変わらないし、凶暴性もあくまで「鎮めた」レベルだけど、首輪が有る限りは主人に逆らえないと言う術が掛かってるんだとか。
首輪はモンスターにしか効力が無いらしいけど、自分の意思はちゃんと有るのに体が勝手に主人に従うようになるなんて……考えただけで恐ろしい。
そして、それに抗えば、耐えがたい罰を受けるのだ。
ライクネスの奴隷だって、こんな風に体の自由は奪われないに違いない。
こんな風に拘束されたら、動物だって従順にならざるを得なくなるだろう。
動物はともだち! なんて世界観で育った俺には恐ろしすぎて堪らなかった。
だけど、この世界ではそれが現実なのだ。
召喚珠がモンスターの示す最も強い信頼の証と言われるのは、守護獣にはこんな闇が有るからだったようだ。そうだよな。そんな可哀想な守護獣もいるんじゃ、「仲が良いですね」なんて手放しで褒める事は出来ないだろう。
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