5.はじめての飲料と守護獣の闇

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   幸いな事に、その首輪はかなり高価で作るのにも時間が掛かるため、冒険者や国や金持ちしか持ってないらしいけど……なんか、やるせない。  それなりに人間と仲良しなバロメッツやヒポカムの事を考えると、余計に守護獣の事が悲しかった。願わくば、良い人ばっかりが首輪を持っててほしいけど。 「キュー……」 「ん、ありがとな。……ロク、もう眠いみたいだな。バッグに入ってな」 「キュウ」  診察室から出ると、ロクが心配そうに見て来たので、俺は頭を撫でてやった。  せめて俺はロクに沢山優しくしてやろう。  その気持ちが伝わったのか、ロクは嬉しそうにクネクネと動くと、俺の頬にすりついてからバッグの中に入って行った。  うう、可愛い。本当こんな子どこにもいませんよ。  落ちこんでたらロクに心配されちゃうよな。よし、元気になろう。酒買ったり薬作ったりまだ色々やる事が有るんだ。元気に行こう、元気に!  リーナさんにお金を払って、俺は治療院を出ようとした。と、そこで。 「あの、クグルギ様……ちょっと、よろしいでしょうか?」 「へ?」  振り返ると、そこには品の良さそうな茶髪のおじさんが立っていた。  おう、チョッキにスラックスに口髭って、本当どっかの紳士みたいだけど……。  何の用かと相手を見上げると、おじさんは困ったように顔を歪めた。 「実は……折り入ってお話ししたい事がありまして……」  来たぞ来たぞ。ナンパじゃないけど、これは厄介ごとを言われそうな匂いだ。  ここはさっさと断っておこう。俺ビギナー冒険者だし。ツレは療養中だし。  
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