5.はじめての飲料と守護獣の闇

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  「……あの、俺用事があるので……」 「その蛇を持ち、良き信頼関係を築いている貴方だからこそ、お頼み申したい依頼があるのです、お願いします! 少しだけでもお時間を!」 「ちょっ、こっ、困ります! 頭を上げてください!」  そう言いつつ腰からの角度きっちり四十五度で深々と頭を下げる相手に、俺は慌てて頭を上げるように頼んだ。ちょっとこの人腰低すぎ。人の話聞かなさすぎ!  やめてよう、俺が悪い事してるみたいだからやめてよう!  だけど、品の良さそうな服装の相手は俺に頭を下げるのをやめない。 「お願いいたします、お話だけでも……!!」 「わ、分かりました! 分かりましたから!」  ああもう、ナンパなら逃げられるけどこんな事されたら逃げられねーよ!  てか、依頼って言うならナンパじゃないんだろうし仕方ない。治療院にも迷惑が掛かるから、さっさと話だけ聞いて帰ろう。  そんな俺の思惑を知ってか知らずか、中年紳士は俺の了承を聞いてやっと頭を上げた。あっ、こいつ笑ってやがる。畜生ハメやがったな! 「ああよかった……では、そこらへんの喫茶店でお話を……」  ううう、ここで断ったらまた騒いで頭下げるだろうし、こういうタイプなら絶対俺を逃がさないだろうし……くそう、仕方ない。喫茶店なら逃げられるから、何かあったら逃げればいいか。 →  
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