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前方に見える大きな島には、瑞々しく光る緑の木々の群生と、咲き乱れる色とりどりの花が見える。その緑の合間には建物が所狭しと連なっていて、随分と気持ちの良さそうな場所に見えた。マジで南国リゾート地って感じだな。
観光地区と居住区の区別がつかないけど、多分ライクネスみたいに一つの街の中で区分けがされているんだろう。
それに、ブラックが言うとおり真正面に見えるあのギリシャ式っぽい神殿。
あれも島の外から見ると迫力が有って凄いの一言だ。
背後の火山っぽい山の中腹にある神殿は、今も白く輝いていてちかちかと光る物が見えた。火が焚いてあるのかな。今なお現役の遺跡らしい。
ふーむ、あの形だと、やっぱ神殿っぽいよな。
ここもナトラを祀ってるんだろうか。あとで観光ガイドとか買おうかな。
「ガイドと言えば……島の後ろ側ってどうなってんだろ。もしかして裏にも観光地とかあったりします?」
「ああ、そこいらは植物や鉱物の保護地区とかで立ち入り禁止なんだよ。観光客は行かねぇほうがいい。こっぴどく叱られるからな」
「保護地区っすか……」
そう言えば、ハーモニックじゃ植物採取とかしてなかったな。黒曜の使者の事が最優先だったから、なるべく寄り道しないで旅してたし。遺跡から帰ってからも、ブラックの足の事でドタバタしてたもんなー。
うう、そう思うと色々作りたくなってきた。
回復薬も所持数がかなり心許ないし、道具整理したら材料もなかったし……。
南国ならではの植物で作れる薬が有るから、是非とも入手したい。
「あの、珍しい植物とかあるんですか?」
「おうもちろん。パルティア島には他の地域とは違う植物が沢山生えてるらしいぜ。それを目当てに来る曜術師ってのも多いらしい」
「へー……そうなんですか……!」
酒池肉林に加えて魅惑の南国植物とは……。
こりゃあとで絶対森に行かなきゃな!
鼻息を荒くして上陸を待っていると、ブラックが横から話しかけてきた。
「他の場所からも、沢山の人間が来てるみたいだね」
「え?」
「ほら、いくつか船が見える」
言われて、指をさす方向へ首を向けると、俺達と同じように木製の小舟に乗って島を目指している人達がいた。
他の場所にも船乗り場があったから、そこら辺から来てるんだろうな。
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