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目が覚めると、私はいつも健太がしていたように、服を着替え、朝食を摂った。幸いだったのは、朝食がトーストだったことだ。もしも米だと、箸を使わなければならないが、私はあんな棒を上手く使いこなす自信などない。
私はいつも健太が出かけていた時間に家を出て、中学校へと向かった。中学校までもう少しという所で、私は後ろから誰かに突き飛ばされ、パランスを崩した。何とか踏みとどまり、振り返ってみると、そこには憎き修と康介が立っていた。
「なあ、お前の猫、死んだんだって? まったく飼い主に似て馬鹿な猫だよな」
修がケラケラと笑いながら、私の体を小突く。その顔には、昨日私が付けてやった傷がしっかりと残っている。
「なに黙ってんだよ」
今度は康介が私の体を小突く。こいつは私を殺した、この世で一番憎い奴だ。絶対に許すわけにはいかない。私は康介の胸ぐらを掴み、自分の方に引き寄せた。健太の中身が私にすり替わっているなどと、康介は夢にも思っていないだろう。健太に反撃されたと思っている康介は、一瞬、呆然とした表情を浮かべる。私はその一瞬の隙をついて、康介を殴り飛ばした。康介はそのまま尻餅をつくが、すぐに修が殴りかかってくる。それを躱した私は、今度は修を殴り飛ばす。
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