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キジとトラは声を揃えて言う。
「あんた達、中学校って知ってる?」
「知ってるも何も、毎日行ってるよ」
トラが答える。
「毎日って、何しに行ってるのよ」
「ご飯を食べにさ。お昼すぎに行くとさ、新鮮な残飯がいっぱいあるんだ。食べても食べてもなくならないくらい」
「まあ、あんた達、残飯漁りなんかしてるの? みっともない」
私の言葉に、トラはシュンと肩を落とす。それに追い打ちをかけるかのように、格好のつかなくなったキジがトラの頭を打った。
「ま、まあ、とりあえず残飯漁りの話は置いといて、ノルは中学校に何か用なのかい」
キジがすぐさま話を切り替えてきた。
「まあね、ちょっといろいろあって。中学校に忍び込みたいのよ」
「それなら簡単さ。猫が中学校の敷地内にいたところで、誰も大して気にすることはないさ。ただ、校舎の中は駄目だ。校舎の中に入った途端、中学生の大群に追いかけ回されることになるからね」
「校舎って、あのずいぶん大きな建物のこと?」
「そうさ。あの中で、人間は勉強とやらをしているのさ。まあ、猫の僕達にはさっぱり理解できないけどね」
「ふうん。じゃあ、悪いけど、私を中学校の中まで案内してくれないかしら?」
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