Cat

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「それならいいけど。あ、それと一応言っておくけど、私は死んでも残飯漁りなんてみっともない真似はしないからね」 「わかってるよ……」 「とにかく、あんた達は目的を達成するまで私を案内すること! いいかしら?」 「ええっ……それまでお昼ご飯抜きなの? お腹空いたよ……」  トラは情けない声を上げる。そんなトラを、 「ノルの頼みなんだ! 昼飯なんか後に決まってるだろ!」  とキジが一喝する。トラはしょんぼりと俯いた。  野良猫兄弟は中学校の裏手に回ると、中学校を取り囲むフェンスに沿って歩く。やがて、猫一匹が通れるくらいのフェンスの切れ間が現れた。 「ここが秘密の抜け穴さ」  キジが自慢げに胸を張る。 「はいはい、すごいすごい」     
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