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忘れてます。
「………。」
私は、黙りこくってしまった。
「は…?隼人、マジで言ってる……?」
次郎が戸惑ったような瞳で神崎くんを見つめた。
うん、私だって信じられない。
こんなこと…信じ難いよね………。
予想外すぎるもん。
まさか、
「神崎くんが……初めて喋ってくれるなんて!!」
次郎がずっこけた。
「そっちかーい!ってツッコミたいけど確かにそうだな!」
だよね!祝・初めて意見一致!
だけどそんな私達を見ても、神崎くんは首を傾げるだけだった。本当に覚えてないらしい。
確かに喋ってくれた時点で、神崎くんは頭を打っておかしくなってしまったと考えられるものね…。
次郎のことは覚えているみたいだった。なんてこと。
私のほうから分かりやすくすすーっ…と次郎のほうへ寄ってしまった事が、証拠。
「次郎、ホントに誰あれ。」
『あれ』…。
わたし、物扱いされてます?
うわーん、それならまだ記憶あったほうがマシだったんじゃないの!!
次郎はそんな神崎くんを見て、当たり前のように告げた。
「あれ?あれはだな…。見た目は真面目でしっかり者に見えるが、中身はかなりのひねくれ者の奴だ。まあ、仲良くしてやれ。」
次郎まで物扱い!しかもなんて偉そーに!
しかもしかもほとんどけなしてる!
見た目はって……失礼な!中身も優等生よ!
いや、本当に優等生だったらこんなおふざけ小説の主役に出演なんてできないわね!うん、確かに。
そして最後に次郎はサラッと付け足した。
「あ、あと隼人の好きな人。」
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