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昼下がりの食事処--
やぁ、いらっしゃい。
ようこそ、我が食事処へ。よく来てくれたね。一人かい?
にしてもあんたも随分と暇人だね。わざわざこんな辺鄙な店にくるなんて……。おっと、店の女将がこんな事を言ってたら元も子もないや。
まぁ久しぶりのお客様だ。一名か。ならカウンターで良いかい?
へ? カウンターじゃなくて……、厨房?
あははっ、おかしなことを言うもんだねお客さん。でも良いよ。さぁ、こっち来な。
……なんだい、その顔。言いだしたのは自分だろ。あぁ、まさか本当に許可をもらえるとは思ってなかったかい?
でもね、うちの店では「厨房に入りたい客は絶対に断るな」っていう先代の女将からの伝言があるんだよ。まぁその先代も去年、流行り病で死んじまったんだけどね。
……約束したんだよ。むかーしむかしに、通りすがりの馬鹿な男と先代女将が、その場限りな口約束を。
あんた、厨房に入りたいってことは、今から料理作るつもりなんだろ? もしよかったら、片手間にでも聞いてくれないかい?
馬鹿な男の、マジな誓いの話をさ。
――始まりは、ずっとずっと昔のこと
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