儚い恋

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儚い恋

僕には好きな人がいる。 中学校の同学年の女子だ。 喋ったことは無い。密かに想いを寄せている。 だから、好きな理由は容姿なんだと自覚している。 周りの大人はよく言う。人の好き嫌いは容姿で決めちゃいけない。性格がどうかなんだ、と。 それでも僕は、異議を唱えたい。 諦めきれないんだ。彼女のことが。 授業中、彼女といちゃつく自分を想像して妄想にふけってしまう。その間、意図せず口角が上がって、にやついてしまうのだ。 容姿端麗はいいものだ。 家の鏡で自分の顔を見ると、がっかりする。 僕なんかが彼女と釣り合わないことは、僕自身が一番よく分かっているのに。 結局、全ては容姿。相手の情はその次なのだ。 中学生がする恋なんて、大人の恋からして見ればただの子供遊びに過ぎないのかもしれない。しかし、僕らは無邪気な子供とは程遠い葛藤に悩まされているのだ。 小学校卒業したばかりの、頭ふわふわ単純ガキとは断固として思われたくない。 各々が違う思いを抱き、生きている。 ……さて、話を戻そう。 かくして僕は、可能な限り考えた末、ある結論に辿り着いたのだった。 それは、彼女との恋は無理であること。     
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