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私の訝しげな表情で何を思ったのか
「るなちゃんの可愛さも相当よ。いい! 二人とも! 」
そう言ってテンションを上げてきた。
「だいたいさぁ、名前に“ら行”使っていいのは美しい人だけ」
「はい? 」
……意味が分からん事を熱弁し出す。
「ら行って、ちょっと一般人だと名前負けしちゃう。選ばれしら行の人達! 」
一般人って何だろ。
「私、自分の名前嫌いなんですけど」
佳子さんはものすっごく目を見開いて
「なんで!? めちゃめちゃ可愛い。むしろ、るなちゃんじゃないと“るな”は使えない!! 」
と、訳の分からないことを言った。
「馬鹿っぽいから」
「馬鹿じゃないんだから、いいでしょ?ギャップがいいのよ、ギャップが。よ! 高学歴!! 」
話すの、馬鹿らしくなってきた。
とりあえず、麗佳さんに対して何も思ってなさそう。
「私なんて佳子だよー。せめてこの漢字の読みが違えば、ロイヤルだったのに……。よしこって多いのよね、親世代くらいに。おばネーム」
思わず吹き出した。
「ぴったりですよ、佳子さん」
思わず素が出て、言ってからしまった。と、思った。年上の女性は、こういうの嫌いだ。そーっと、佳子さんを見ると、変わらずにこにこして
「可愛い! 毒はいてる~! 」
と、言った。
……うん、今日も頑張ろう。
その日の麗佳さんとの同行は仕事以外お互い話さず、過ぎて行った。麗佳さんはいつも通りといえば、いつも通り。
だけど……これからあの狭いフロアでやっていかなければならない。麗佳さんは私の隣の席だし……。
────最終日の同行後、コーヒーでもと私から誘った。
「ええ、良いわよ」
相変わらず抑揚もなく……でも断られなかっただけ……マシか。
「あの、ありがとうございました。ご指導頂いて……勉強になりました」
丁寧にお礼を言った。男性たちの営業より、同じ女性として参考になる部分も多かった。まぁ、目がハートになってる男性陣を……なぎ倒してたけどね。
「休憩時間なんだから、気を遣わないで」
「では、プライベートな質問をしても……かまいませんか? 」
「どうぞ」
「彼氏……いらっしゃるんですか? 」
そう。
これは……聞いておかなければならなかった。この人の美しさが脅威である事には変わらない。
麗佳さんは、ゆっくり顔をあげ、不審な目で私の顔を見た。確かに……唐突だったか。でも、それしか聞きたくないんだから、仕方ない。
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