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「いないわよ」
「な、なぜですが? 」
いないの!?ショック。あやうく口でガーンって言いかけた。
「私が聞きたいわ」
その、微妙な顔に少し吹き出してしまった。
「すみません。……つい」
慌てて謝ったけど、麗佳さんは少し頬を赤らめて目を逸らした。いないことが恥ずかしかった?
「私も、いません」
正直にそう言うと
「え? なぜ? 」
彼女は真っ直ぐにこちらを見た。
「私が聞きたいです」
同じ言葉を返すと、今度は麗佳さんが吹き出した。あ、ちょっと……今の……
「いつから……? 」
「もう3年以上……かなぁ? 」
「そうなの? 実は……私も同じくらい」
……普通だな。案外、普通に話してくれるんだ。とっつきにくいけど……。
え!?てか、3年!?何で!?このルックスで!!
「……欲しくないわけじゃないんだけれど……」
彼女は残念そうにそう言った。いや、出来るだろ。すぐに……。
あ、もしかして……高嶺の花すぎるんじゃ。それに、バッタバタなぎ倒してた。
そうか、それで……
「いわゆる、あれですよね。私たち」
当時流行りの言葉に乗せた。
「セカンドバージン」
彼女がきょとんとする。あ、可愛い。この顔。
「セカンド……? 」
知らなかったのか
「本当の意味でバージンじゃないけど、期間が開いてしまってる事を……」
説明しながら思った。彼女がそうとは限らない。特定の恋人がいなくたって、何か、はあるかもしれない。色気のある人だし……。
「なるほどね……でも私の場合、セカンドではないかも。サード、フォース……フィフス……あれ、何人だろ」
「ちょ! 麗佳さん! ストップ!! それ、何人目の人からそうなったかカウントするもんじゃありません! 」
あやうく、過去の人数分かるとこだった。こんなとこで。心臓バクバクするわ!
「るなちゃん、色んな事知ってるのねぇ。私の方が同行させてもらったみたいだわ」
そう言って、綺麗な顔で笑う。
「私、恋愛が上手く行かないことと、この可愛くない性格がコンプレックスなの」
とか言ってる。この人……自分のこと、わかってないなー。呆れるほど。
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