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「中途半端な気持ちで、別れ話をするような人ではないから、きっと相当悩んで出した結論なんだと思う。もう一度話しても、結論は変わらないよ」
「別れ話に時間をかけれは、双方が納得できるかというと……、そうでもないですよね」
彼が口を開いたことにみんなが驚いた。
仕事以外で喋れるんだ。
この人……
「未来があるのなら、これからのために話し合いは必要だと思いますが。
……限られた時間での別れ話は、彼の優しさかもしれません」
そして……
結構、その通りだ。
「すみません……。でも、辛いのは彼も……彼の方かもしれません」
「縁が無かった……。3年分しか」
麗佳さんがポツリと言った。
「気持ちは、そんな簡単に終わらせられないですよね……」
私は自分の想いに重ねて……そう言った。
「うん……。そうだね。3年の思い出って忘れるのに3年かかるのかな? そんな時間かけれる年齢じゃないけど……」
佳子さんが自虐的に笑って言った。
え……ちょっと……
それなら私も……佳子さんと同じくらいの歳になっちゃう。
佳子さんと同じ年になったら、気持ちが通じるならいくらでも待つけどね。
だけど……
佳子さんと同じ年になっても忘れられていない可能性の方が……
高い!
そこから、忘れるとしたら……もうすっかりアラフォーだな。
「とても、好きだったんですね。その人の事」
結城さんの言葉に、佳子さんは考え込む。
「それは……その、3年も付き合っていた……ので……。
生活の一部になってたんです。居るのが当たり前というか……今まで彼と居た、休日とか、誕生日とかクリスマスとか、時間をどう埋めるのが課題だったりしますね……。どうしていいかわからない。この年になると、結婚してる子も多くて一緒に過ごせる友人もなかなか……」
そうか、付き合ってたんだ。
私と佳子さんの決定的な違いは
両思いか、片思いか。
まあ、佳子さんも終わってしまったんだけど。
「眉間、皺よってますよ」
佳子さんの眉間を伸ばした。
始まっただけでも、羨ましい。
……なんて……。
「……結婚、遠のいちゃったな……。この年で振られると、ダメージが半端ない」
……結婚……か……。
「私も佳子ちゃんと、年かわらないけどね」
麗佳さんが取り分けた料理を渡しながら、そう言った。
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