第4話 side runa

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「中途半端な気持ちで、別れ話をするような人ではないから、きっと相当悩んで出した結論なんだと思う。もう一度話しても、結論は変わらないよ」 「別れ話に時間をかけれは、双方が納得できるかというと……、そうでもないですよね」 彼が口を開いたことにみんなが驚いた。 仕事以外で喋れるんだ。 この人…… 「未来があるのなら、これからのために話し合いは必要だと思いますが。 ……限られた時間での別れ話は、彼の優しさかもしれません」 そして…… 結構、その通りだ。 「すみません……。でも、辛いのは彼も……彼の方かもしれません」 「縁が無かった……。3年分しか」 麗佳さんがポツリと言った。 「気持ちは、そんな簡単に終わらせられないですよね……」 私は自分の想いに重ねて……そう言った。 「うん……。そうだね。3年の思い出って忘れるのに3年かかるのかな? そんな時間かけれる年齢じゃないけど……」 佳子さんが自虐的に笑って言った。 え……ちょっと…… それなら私も……佳子さんと同じくらいの歳になっちゃう。 佳子さんと同じ年になったら、気持ちが通じるならいくらでも待つけどね。 だけど…… 佳子さんと同じ年になっても忘れられていない可能性の方が…… 高い! そこから、忘れるとしたら……もうすっかりアラフォーだな。 「とても、好きだったんですね。その人の事」 結城さんの言葉に、佳子さんは考え込む。 「それは……その、3年も付き合っていた……ので……。 生活の一部になってたんです。居るのが当たり前というか……今まで彼と居た、休日とか、誕生日とかクリスマスとか、時間をどう埋めるのが課題だったりしますね……。どうしていいかわからない。この年になると、結婚してる子も多くて一緒に過ごせる友人もなかなか……」 そうか、付き合ってたんだ。 私と佳子さんの決定的な違いは 両思いか、片思いか。 まあ、佳子さんも終わってしまったんだけど。 「眉間、皺よってますよ」  佳子さんの眉間を伸ばした。 始まっただけでも、羨ましい。 ……なんて……。 「……結婚、遠のいちゃったな……。この年で振られると、ダメージが半端ない」 ……結婚……か……。 「私も佳子ちゃんと、年かわらないけどね」 麗佳さんが取り分けた料理を渡しながら、そう言った。
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