エピローグ 4side

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「怒らないって言ったのに。本当にごめんなさい」 悠さんは、申し訳なさそうにそう言った。 胸ぐら掴んだ手をようやく離して言った。 「はー、もう、許せん」 「……ごめん」 「抜けてるんだわ、あんた。分かるか? え? 落ち込んだんだよ、この世の終わりレベルに。こっちは。分かるか? オイ」 悠さんに乗っかるように責める。 「……嫌いになった?」 小首を傾げて、悲しそうに言う。 「いや、好きですよ……まだ」 そう言うと、嬉しそうに爽やかに笑った。 あー……やられる。あざとい。 とりあえず、真っ赤になって俯いた私に彼が起き上がりながら言った。 「TOPのシステムがおかしいよね。その月の1日~末に結婚する人を載せるんだよ。実際まだしてなくても“しました”ってね」 確かにそうだ! 佳子さんも、先に上がってた!結婚したのは月末だったのに。 「今の時代にもそぐわないし、これから離婚とかもあるかもだし……俺が前例で……ややこしいから、廃止を検討しようかなぁ」 「え!? ヤダヤダヤダ!! 私も載りたい!! スマホで写真撮りたい!! で、スマホの待ち受けに……」 「え? そんなの、する?」 「佳子さん……してた」 「……あはは! 可愛いなぁ、佳子ちゃん」 ………………。 「佳子さんと、麗佳さん褒めるの禁止」 「……何で?」 「脅威だからです!」 「ああ、分かりました。その代わり……」 そう言って上目遣い。 私より高い位置に顔があるのに上目遣い? どうなってるんだ。あざといな。 「ドレス。ふわっふわの。ピンクとか……」 「悠さん……私……挙式する頃には……アラサーの年ですけど?」 悠さんしょんぼりしてる。 「あ、そうか……。でも、可愛いだろうなって……」 チラリとこちらを見る。 う…… 「わ、私! 着たかったんですよね、真っ白でふわっふわの!!」 仕方ない。そう言って抱きついた。 「それから、ピンクも!!」 ほんとは大人っぽく…… 「大人っぽいのは、お色直しでね」 そう言って爽やかに笑う彼に、一生敵わないと思った。 「家も、買うから。色々リサーチ。ね?」 ね?の口調。顔!! こんなに嬉しそうに笑ってくれるなら 何でもいい。 悠さんの隣でドレスが着られるなら いい。 悠さんがいれば いい。 我慢しきれず、自分からキスして言った。 「とりあえず……大きいベッド……買いません?」 「赤くなるくせに、そういうのは言うよね」 「だって……」 「うん。ありがとう。好きになってくれて」 「いいえ、どういたしましてー」 しつこさも 気持ち悪いくらいの想いも…… 好きなんですよね、私。 ……だって、悠さんとお揃いだから。
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