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「怒らないって言ったのに。本当にごめんなさい」
悠さんは、申し訳なさそうにそう言った。
胸ぐら掴んだ手をようやく離して言った。
「はー、もう、許せん」
「……ごめん」
「抜けてるんだわ、あんた。分かるか?
え? 落ち込んだんだよ、この世の終わりレベルに。こっちは。分かるか? オイ」
悠さんに乗っかるように責める。
「……嫌いになった?」
小首を傾げて、悲しそうに言う。
「いや、好きですよ……まだ」
そう言うと、嬉しそうに爽やかに笑った。
あー……やられる。あざとい。
とりあえず、真っ赤になって俯いた私に彼が起き上がりながら言った。
「TOPのシステムがおかしいよね。その月の1日~末に結婚する人を載せるんだよ。実際まだしてなくても“しました”ってね」
確かにそうだ!
佳子さんも、先に上がってた!結婚したのは月末だったのに。
「今の時代にもそぐわないし、これから離婚とかもあるかもだし……俺が前例で……ややこしいから、廃止を検討しようかなぁ」
「え!? ヤダヤダヤダ!! 私も載りたい!! スマホで写真撮りたい!! で、スマホの待ち受けに……」
「え? そんなの、する?」
「佳子さん……してた」
「……あはは! 可愛いなぁ、佳子ちゃん」
………………。
「佳子さんと、麗佳さん褒めるの禁止」
「……何で?」
「脅威だからです!」
「ああ、分かりました。その代わり……」
そう言って上目遣い。
私より高い位置に顔があるのに上目遣い?
どうなってるんだ。あざといな。
「ドレス。ふわっふわの。ピンクとか……」
「悠さん……私……挙式する頃には……アラサーの年ですけど?」
悠さんしょんぼりしてる。
「あ、そうか……。でも、可愛いだろうなって……」
チラリとこちらを見る。
う……
「わ、私! 着たかったんですよね、真っ白でふわっふわの!!」
仕方ない。そう言って抱きついた。
「それから、ピンクも!!」
ほんとは大人っぽく……
「大人っぽいのは、お色直しでね」
そう言って爽やかに笑う彼に、一生敵わないと思った。
「家も、買うから。色々リサーチ。ね?」
ね?の口調。顔!!
こんなに嬉しそうに笑ってくれるなら
何でもいい。
悠さんの隣でドレスが着られるなら
いい。
悠さんがいれば
いい。
我慢しきれず、自分からキスして言った。
「とりあえず……大きいベッド……買いません?」
「赤くなるくせに、そういうのは言うよね」
「だって……」
「うん。ありがとう。好きになってくれて」
「いいえ、どういたしましてー」
しつこさも
気持ち悪いくらいの想いも……
好きなんですよね、私。
……だって、悠さんとお揃いだから。
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