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蝶は
悠さんが何回も何回も杭的な物を胸に差すから
……その穴から外へ出たんじゃないかな。
空高く舞い上がった蝶は、随分長生きだった。
ずっと、私の中にいたからこそ、長生きできたのかもしれない。
だから……良かったんだ。これで。
嬉しそうに……ヒラヒラと舞う。
それから……
すぅっと空に吸い込まれて行った。
真っ白だと思っていたけど……
淡いピンクだったのかもしれないな。あの蝶は。
それとも、外へ出られて、ピンクに染まったのかな。
閉じ込めてごめんね。
ありがとう。
気持ち悪いだなんて思ってごめんね。
きっと、綺麗だった。
こんなにも。そう思えた。
そんな、私の恋だった。
「あれ? 今……」
「何ですか?」
「いや、何でも。綺麗だね、そのピアス」
「私も、そう思います」
「淡いピンクが……」
「そう、淡いピンクがね」
──END──
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