番外編その1

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久しぶりに自分の家から出勤したせいで、ノーチェックだった。 ──とりあえず、定時までに顔を見ておきたい。 無理矢理用事を作って自分の所属する部署の階をスルーして、1つ上の階へと足を運んだ。 「回りくどいんだよ、お前」 中野にそう言われ、目的はバレてる。 「……だってさ、今朝会えてないんだもん」 「知るか! どうせ同じ所、帰んだろ。貸せ、それ」 そう言って、全然どうでもいいカモフラージュ書類を私の手からひったくった。 「……あ、おはよう。今からそっち行こうと思ってたんだよね」 そう言って、どこからか帰って来たのは、私の悠さん。 まだ、ハッキリとはそっちを見れていない。 中野が後ろ向きに親指を立てて 「さっさと行け」 と言った。俯いたまま、悠さんと下の階へと行く。 悠さんは勿論、私に会いに営業部へと行こうと思っていた……訳ではない。 仕事で、だ。 ちっ、公私混同しない奴め。 下の階に到着すると、漸くチラリと悠さんの方に目をやった。 彼はにっこりと、いつもの様に笑った… のは、いいけど…… いつもと違っ…… 「ギャー! な、な、ど、どうしたんですか、悠さん!!」 「え、ああ。今朝コンタクト破っちゃったんだよね。だから……今日仕事帰りにコンタクト作りに行ってくるよ。ちょっと度も合ってなかった気がするし……丁度良かったかな」 眼鏡姿のかっこよすぎる顔でそう言った。 「良くない、全然丁度良くないわ! バカなの!? 何? 何? 何!? 何の用なの、営業部に。帰って! 早く!」 「……え、ほら……仕事。ここ、会社だからね」 「まだ、定時なってない」 悠さんが時計を確認した。
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