番外編その1

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「あ、うん。そうだね。でも……佳子ちゃんに……」 「佳子さんには、私が一言一句違わずにお伝え致します。どうぞ」 「えー……何? 一体」 「あなたは、自分を知らなさすぎる」 「うん、だから、どうしたの?」 「眼鏡、かっこよすぎる。だから、今日は営業部に来るのは禁止。いや、総務部から出るな」 「……あのねぇ、君、営業部の人間だよね? あそこまで揃った人達の前に、今さら眼鏡かけたくらいで、俺が……」 「はぁ!? あんなの、有って無いような顔です! あなたに比べたら!!」 思わず大きな声が出た。 悠さんが片手で顔を隠して、大きなため息をついた。 「ごめん、今の君のせいで……逆に俺は……今日ここには来れなくなった。……えっと、お願いするね」 そう言って、書類の説明をすると、足早に上へと戻られた。 よし! ナイスディフェンス。私! 書類を持って、営業部へと入った。 「なんですか? みなさん」 なぜか、皆が震えてる。 「……えっと?」 「ごめんね、有って無いような顔で」 と、吉良さんがニッと口角を上げる。 「いやー、そんな顔でもついてるだけマシっすよ」 「お前よりは、整ってるわ」 「……ひでぇ。いや、もっとひでぇ人、おはようございまース」 筑波の言葉に ……あ、さっきの、聞こえてた。 そっかそっか。 佳子さんが、そそくさとどこかへ行こうとする。 「待って! 佳子さん! どこ行くの!?」 「だってさ、顔の話されたらさ……私なんて……」 「ちょ、いや、よ、佳子さん! ほら、結城さん! 何か言って!!」 「今日は……総務部には、行かないで」 と、AIがボソリと言った。 佳子さんが赤くなって 「あ、私からもお願いします。今日は佳子さんと麗佳さんと真子ちゃんは総務部禁止(ワタクシ)が、ご用をば」 そう言うと、 全員がまた……肩を震わせた。 「そこまで言われたら、見たくなっちゃうわね」 そう言った麗佳さんに、吉良さんが片眉を上げた。
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