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彼女にプロポーズしたのはクリスマスイブ。
幸せそうに過ごす彼女に、俺も幸せだなって思って過ごしてたら
いつの間にか、桜が咲く季節になっていた。
「何やってんだよ……」
今は、昼休みに中野君に怒られているところ。
何って、幸せだなって思ってたらいつの間にか時間が経ってたんだ。
って言ったら、余計怒られるんだろうな。
「彼女の気持ちを尊重して……」
「年功序列。後つかえてるんですからね。今年はラッシュっしょ?」
「ん、そうか、楽しみだね」
決定してるのは、吉良君と中条さんのところ……
後は……
誰かな?ん?と、とりあえず、中野君を見て、笑った。
中野くんは少し顔を赤くした。
それが余計怒らせてしまったみたいで……。
「……さっさと、して下さい!」
元々鋭い目を更に鋭くされたもので
「はい」
とだけ言った。
全く、頼もしく成長したものだ。
だけど、そうだな。
そう思って、その日の夜に彼女に言った。
「そろそろ、ご両親にご挨拶に行きたい」
「え、その日、二人の時間減るじゃないですか。それに……もう、絶対格好いい! って言うでしょ? 母も姉も。見せたくないなー。勿体ない」
……これだもんな。
「じゃあ、いつまで経っても結婚出来ないね。あー、一緒にすら住めない」
そう言って、食事の準備の為にキッチンへ向かった。チラリと彼女を見ると
大きな目を見開いて固まってる。
「一緒に住んでるようなものだし……」
「うん、そうだね。じゃあ、いいね」
「い、嫌だ、ヤダヤダ、ど、どうしたらいの!?」
「だから、挨拶……」
「あー……そっか」
「ね、ご両親だって心配されてるよ。挨拶が済んだら、一緒に住もう」
そう言った俺にぶんぶんと縦に顔を振った。
こうして、漸く、第一歩を踏み出した。
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