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しばらくは、俺のマンションで二人で住む。
以前、彼女が大きなベッドが欲しいと言っていたので、この日はベッドの下見に。
なのに、今と変わらない大きさのベッドばかりを見ている彼女に
「ねぇ、子供が出来た時の為に、それなりの大きさが必要かな? それとも、子供が出来たら落ちないように布団の方がいいのかな。……そうなると、和室も必要か……」
「……川の字で寝るやつですか」
「うん、そうだね」
楽しみだな、きっと……凄く可愛い。
「……真ん中、私ですよね?」
「……ん? 子供……じゃないかな?」
「……じゃあ、今のままでいい」
……また、よく分からない事を。
真っ赤になって、俯いた顔を上げると
「は、悠さんの横は、譲りませんからね!」
そう言った。
「俺の、子供だよ? 俺のミニチュア……」
「は、悠さんの!?」
いや、彼女に似るかもしれないけど。
しばらくの沈黙の後
「絶対、真ん中は譲りませんからねっ!」
今度はさっきと違う意味だろうけど……
強い口調でそう言った。
「……ああ、うん」
いいや、もう。
可愛いだろうな、きっと。彼女に似た方が。
「ああ、でも悠さん、子供に夢中になるんだろうなー。嫌だなぁ。私、二番目とか。私のご飯より、先に子供の離乳食作るんだろうなぁ」
……あ、離乳食も俺が作るんだ。
うん、まあ、楽しみだな。
「先に、作ってあげるから、今はベッド決めようか」
そう言って、大きめのベッドが展示されてる方へと促した。
「悠さん、熟睡したらあっち向く傾向にあるんですよねっ、私に背中向けちゃうの。あ、勿論ですね、あなたの背中も大好きで、今迄はスーツバージョンの背中を散々見ては来てるんですけど……パジャマバージョンはレアで。けど、熟睡してちょっと開いた無防備な口とか……あー、いつもこっそりベッドから抜けて、見てるんですけどね、たまにはこっち見て寝て欲しくもあり、そうなると寝返り出来ないくらい狭いベッドの方がいいのかなーとか……色々考えて……」
……見過ぎ。
俺本人以上に、俺を知っていて、尚且つ、まだ俺を知りたいと思ってくれる。
ここまで好きになってくれる人は、もう二度と現れないだろうな。
いや、彼女だけで……十分。
「起きてる時に、正面から見てね。はい」
まだ喋り続けている彼女に
そう言って顔を近づけた。
「ギャー!」
ここ、家具売り場だっての。
真っ赤になって、俺の後ろに回り込んだ。
「ああ、背中、私服バージョンかっこいい。背面最高! 勿論前面も。最近は、手を繋いで歩くので、側面も素敵で……」
そう言って、大きな目を開いて俺の回りをゆっくりと一周する。
3Dスキャン。
……帰ろう。
あー……今日も結局、何も決まらなかった、な。だけど、いいか。
「行こうか、るな」
真っ赤になって、下向いたから……
手は繋いどく。
俺も、こんなにも好きになれて良かったな。
今日から、逆サイドに寝させるとしよう。
そう思いながら
今日も同じ家へと二人で向かった。
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