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感無量。
感無量ってやつだ。
もういい、もう。
目の前には、大好きな悠さん。その横に、うちの母親。
母親と悠さん。
そのツーショットだけでもう…大満足ってもんだ。
テンションの上がった母親のマシンガントークに、悠さんが優しく相槌を打ってる。
母親と大好きな悠さんという……接点のない筈の二人が並ぶ。
そんなことは、あるわけが無かった。
それが目の前に……
感無量。
もう既に泣ける。
悠さんも、私の家族に……身内になるんだなぁ。
──この日は結婚式のドレス選びに来ていた。
母親の希望で連れて来たけれど……
もう帰ってもいいくらい私は満足した。
悠さんが物凄く嬉しそうにピンクのドレスを持っているけれど……
あのフリフリを着せられる恐怖も、今日は我慢出来るってもんだ。
麗佳さんみたいな大人っぽいドレス……
盛り上がってる二人に背を向けて、こっそりあてがってみる。
………。
予想の数千倍似合わない。
こういうのは、麗佳さんだから似合うのか。
はぁ
「ね、ほら、ディズニープリンセスのドレスみたいに、水色とか、黄色も素敵!」
母親の甲高い声が聞こえた。
アラサーに、プリンセス?……黄色?
いいや、何でも。
あの二人が楽しそうだし。私は今日は着せ替え人形として過ごそう。
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