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「わ、可愛いね」
ピンクのドレス着て試着室から出ると、悠さんがそう言って
母親も頷く。
その二人の様子に私はまた……満足した。
「せっかくだから、色々着てみましょうよ」
母親の言葉に
「そうですね、とても可愛らしい新婦さんですので、どれもお似合いになって、悩みますね」
お色直しのドレス1着に凄い金額が……
スタッフのそんな思惑に
「僕もそう思います」
なんて、大人な悠さんが乗せられるもので……嬉しいんだろうな、悠さんも。
「もう、挙式無しでいいくらい大満足」
思わず口に出した。
それを察したのか悠さんが優しく笑う。
「駄目だよ、皆に見て貰おうね、俺達が夫婦になったんだって事」
……そうか
“夫婦”
悠さんと?
「うぇー……」泣く。もう、駄目、泣く。
「「えぇ!?」」
母親及び悠さん及びスタッフさんが物凄く驚いていたけれど
「すみません、つい」
渡されたティッシュで鼻をかんだ。
「佳子ちゃんの結婚式も、朝から泣いてたもんね」
「何で知ってるんですか?」
「……式場の時点でメイクとれてたしね。鼻も赤い」
ピッと悠さんが私の鼻を優しく弾いて
爽やかに笑った。
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