番外編その3

4/8
前へ
/393ページ
次へ
「俺たちの結婚式の日は、うんっと、幸せな日だから、笑って欲しいなぁ……」 「無理ですよ、そんなの」 「……うん、きっと……俺も泣いちゃうだろうな」 「ええ、悠さんも!?」 「……そうだね。うんっと、幸せで……泣いちゃうかな」 そう言って微笑んだ。 「は、悠さんが泣いちゃうなら私は泣きません! 泣いてる悠さんをちゃんと見たいから!」 悠さんがちょっと驚いて、また、爽やかに笑う。 「幸せなのに、何で泣くのかなって思ってたんだよね。……だけど……今なら分かるなぁ、きっと、物凄く……幸せだからだね」 流れる涙を悠さんが優しく拭いてくれる。 「ご新婦様のドレスが決まられたら、ご新郎様の……と思ってたのですが、次回に致しましょうね」 スタッフの女性が優しくそう言った。 ……新郎!?悠さんの!?タキシード!? 「え、今日、今日! 今日着ます! 新郎も今日着ます!!」 見たい、見たい、見たいわ、そんなもん 「あ、もう何でもいいです、ドレス。新郎いきましょう、新郎!」 「……え、ねぇ、ちゃんと試着して決めようよ、君が主役なんだから」 「大丈夫、何でも似合うので。あ、悠さんピンクがいい? うん、じゃ、それでー」 「あのねぇ……」 「悠さんの隣で着られるなら、何でもいいんですっ!」 私がそう言うと また、悠さんが幸せそうに笑い…… それに、また…… ティッシュを箱ごと渡される羽目になった。 幸せで泣ける。 なんでだろう。
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7460人が本棚に入れています
本棚に追加