7460人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺たちの結婚式の日は、うんっと、幸せな日だから、笑って欲しいなぁ……」
「無理ですよ、そんなの」
「……うん、きっと……俺も泣いちゃうだろうな」
「ええ、悠さんも!?」
「……そうだね。うんっと、幸せで……泣いちゃうかな」
そう言って微笑んだ。
「は、悠さんが泣いちゃうなら私は泣きません! 泣いてる悠さんをちゃんと見たいから!」
悠さんがちょっと驚いて、また、爽やかに笑う。
「幸せなのに、何で泣くのかなって思ってたんだよね。……だけど……今なら分かるなぁ、きっと、物凄く……幸せだからだね」
流れる涙を悠さんが優しく拭いてくれる。
「ご新婦様のドレスが決まられたら、ご新郎様の……と思ってたのですが、次回に致しましょうね」
スタッフの女性が優しくそう言った。
……新郎!?悠さんの!?タキシード!?
「え、今日、今日! 今日着ます! 新郎も今日着ます!!」
見たい、見たい、見たいわ、そんなもん
「あ、もう何でもいいです、ドレス。新郎いきましょう、新郎!」
「……え、ねぇ、ちゃんと試着して決めようよ、君が主役なんだから」
「大丈夫、何でも似合うので。あ、悠さんピンクがいい? うん、じゃ、それでー」
「あのねぇ……」
「悠さんの隣で着られるなら、何でもいいんですっ!」
私がそう言うと
また、悠さんが幸せそうに笑い……
それに、また……
ティッシュを箱ごと渡される羽目になった。
幸せで泣ける。
なんでだろう。
最初のコメントを投稿しよう!