いつかのいつか side runa

3/5
7395人が本棚に入れています
本棚に追加
/393ページ
 でた、でたよ。何このなっがい列!  最後尾に並んだ時の後悔ったらなかった。うかつだった。よく考えたらわかること。カフェなんて、カップルか女同士に相場は決まってる。誰かが悠さんに惚れたらどうしよう。だって、こんなにかっこいいんだもん。見るな、見るなよ、減る!私の悠さんなんだからね。 「……どうしたの、殺気だってるけど。怖い顔したら、可愛い顔が台無しだよ? 」 「はっ、可愛くなんてない……ん? 」  見上げると、悠さんは 「可愛いよ」って笑った。ぶわっと顔に血液が集まる。 「駄目、こんな所で笑わないで、悠さん。この列の女性たちがあなたを好きになっちゃうでしょ!! 」  悠さんは愛おしい目を見開いて真っ赤になった。えー、赤面かわいー。 「ちょ、君は何言って。声が大きいって。お願いだから黙って。あのね、この列には本当にかっこいい人が少なくとも3人はいるから。頼むよ」 「は? あなたよりかっこいい人なんていませんよ」 「……真顔で何言ってんの。君、営業部の人間でしょうが、」 「あなたに比べれば、大福みたいなもんです」  悠さんは顔を両手で覆って黙ってしまった。そうそう。そうやって顔を覆っていてください。しめしめ。 「いや、もういいや。ありがと。でも、二人の時以外は言わないで」 「はあ、そうします」  だから早くお家に帰ろうって言ってんの。でも本当なのに。悠さんは顔を覆った手をどけてしまったので、私が体を張って悠さんの顔を隠そうと背伸びしたが、小柄な私では悠さんの顔まで届かなかった。チッ。見るなよ、誰も。  
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!