第2話 side runa

3/6
7362人が本棚に入れています
本棚に追加
/393ページ
常に上から目線で、人を分析する。なまじっか、そこそこ鋭いがゆえにわかってしまう事もある。 キツイ性格。だいたい名前も【るな】だ。 平仮名だし。馬鹿っぽい。どうせ月に、ちなんだ名前なら“月子”にでもしてくれたら良かったのに。中身に反して、童顔で垂れ目、つまりアニメ顔。そこそこ胸もあるもんで二次元好きにも崇拝される。馬鹿っぽく見られるのが嫌で、性格を出すようにしたら見た目だけだの、性格が悪いだの。 中学時代、興味のない、勝手に寄ってきた馬鹿な男を適当にあしらうと、同じグループの子の彼氏だったらしく、大荒れに荒れた。 面倒くさくなって、全部ぶちまけたらハブられた。意味がわからない。 それから、高校は女子高にした。男が絡むと面倒くさいのがわかったから。 でも、結局……女子高でも、会話はずーっと男の話。有名な進学校だったけど、中身はこんなのだ。適当に彼氏を作って、適当にまわりに合わせて過ごした。 大学は無理につるむ必要もなくなって、かなり楽にはなったが結局、高校と同じように無難に人間関係を過ごした。特に何も得ていない。適当だ。適当。何もかも。それなりに器用だから、それなりにここまで来た。 ……性格が悪い。それだけは自分でもわかっている。わざわざ分析して、前もって根回しするような、人を斜めからしか見れないようなそんな自分に。 そして、自分さえ自分を好きではないのだから、人に好きになって貰えない事なんて、当然だ。 私とは逆に、どうすれば皆が働きやすいか まわりをよく見て、見ると言っても、私みたいな意地悪な見方でなく、ただ、知るために見る。暖かい目で。 悠さんは……そんな人だった。会社の父親のような優しい優しい……兄のような。 私とは違う。分析してる、意味も。 「わからない事は、すぐに聞いて? 」 彼はよくそう言った。 「何がわからないかも、今はわからないだろうけど」 爽やかな笑顔。悪意のない、まっすぐな。性格のひん曲がった私には、憧れ、敬意、好意……。ああもう、とても言葉じゃ表せない。 聞きやすい雰囲気をいつでも作ってくれた。居心地のいい空気を。 だけど……彼が目の前のに居ると、居心地が良くない。 心の中で暴れだす。自分とは別の人格が、生き物が、そこに……私の中に、住んでいるみたいだった。
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!