第2話 side runa

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外国語で直訳するとお腹の中に蝶がいる。おなかの中に蝶が舞っている気分。ロマンチックな表現。ときめきとワクワク感なのかな。 恋をした状態を表現する比喩。 恋愛でドキドキするとか、緊張して落ち着かないとか、そういう意味なんだろうけど…… 私にはなかった。わくわくとか、そんなもんじゃなかった。楽しみを含む気持ちなんて。 バタバタと煩いくらいの蝶。落ち着かない。そんなに、バタバタしたら弱ってしまわない?そもそも、身体の中に虫がいるなんて。 気持ち悪い。そんな、私の恋だった。 それはもう、好きすぎて。ずーっと落ち着かない。結局、彼女がいるってわかっても、何も変わらなかった。 諦めが悪い?……諦めも何も……何も望んでいなかった。彼に。 そこに、彼がいればそれで良かった。 ただ、苦しい。それに近い感情だった。 何も求めていない。どうしたいのかもわからない。ただ煩く舞うその蝶は……行き場所を無くして、私の中にいるのだろうか。 彼に触れられず、彼の元へも飛んで行けない。日の目も見ないその蝶は、真っ白な姿のまま。
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