第41話 side miyatsukasa

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「……中野君」 「はい……」 「有難う」 その後、直ぐにお礼を言った。 ようやく、彼女と食事に行けるきっかけをくれた彼に。 「いーえ、うまくいきました?」 「はは、もう聞いたんじゃないの? 向こうから」 彼女が、どう捉え、どう伝えているのか俺には分からない。 「あなたからも、聞きたいんですけどね」 中野君の言葉に 「重いのかなぁ。何にしても……今は何とも出来ない。俺……」 そう返した。 当然まだ、美智と話せていないし、俺の気持ちは彼女にとっては重たいのかもしれない。 「そ。気持ちだけじゃどうにもならない」 「その気持ちが大事なんですよ、あいつにとっちゃ」 中野君の言葉は最もで…… だけど 「これだけ……時間掛かっといて中途半端な事出来ないよ」 彼女は、まだ……若い。簡単に受け止められる物でもない。 「考え過ぎても、よくないでしょ」 「美智が帰るまで。そこからは、俺が……待つつもりだよ」 彼女が、受け止められるようになるまで。 何年だって、待つ。 納得しきってはないだろうが、中野君は頷いてくれた。 ──もう一人。お礼を言わなくちゃならない。行ってくるか。 下の階の、企画部の前で少し待った。 「やぁ」 「あ……お疲れ様です」 「……この前……ありがとうね」 俺がそう言うと、彼はにっこり笑った。 「あはは! どうでした? ……なかなか悪いオトコでしょ?」 楽しそうにそう言った。 「ああ、本当。僕……君に似てるって言われるんだよね。うん、光栄だね。君みたいに悪い男になれるか、分からないけど」 「……泣かせないで下さいよ。あれ以上」 「……あー……なるべく早く……そうする」 俺がそう言うと堂本君は 「女の26は、男とは違いますからね」 そう言った。 「うん。それと……君の本命の彼女にも、嫌な思い……」 俺の言葉に少し驚いた顔をして 「そっちは、僕の仕事なんで」 彼はそう言って爽やかに笑って…… 俺に手を上げて……その場を後にした。 少し前、堂本君のが誰だったか、知ってしまった。それなのに、俺にこうしてくれた彼は、やっぱり相原さんがそう言った通り、優しい男だ。
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