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いつかのいつか side runa
「チッ」
悠さんに気づかれないように舌打ちをした。誰だよ、こんなチラシ持ってきた奴ぁ。&だぁ? 何で近くにオープンすんだよ。責任者出てこい!!
私はチラシを手に怒りで震えていた。
少し前の事だ。悠さんがめっぽう可愛い顔で笑って(殺す気!?)私にそのチラシを見せてきたのだ。
「&だって。おしゃれなカフェだね。僕たちも行ってみようか」
なあにが、『僕』だ。会社を出てすぐ、まだ仕事モードの切り替えが出来てない悠さんが、うっかり『僕』と言うあざとさを発揮して、胸きゅんで死にかけながら、私は断りを入れた。
「嫌です! 」
「えー、そう。残念だなぁ」
うう、悠さん、しょんぼりしてる。あああ、横目でこっちをチラチラ見てるぅぅ。負けるものか。絶対に行かない。行くもんか。
「行きませんからね。せっかくの日曜日、そんなババ込みのところに行くわけないでしょう? 二人の時間が減る!! 」
「そっかぁ。君も甘いもの好きだし、喜ぶかと思ったんだけど」
あああ、しょんぼりしてる。悠さんしょんぼりしてる。
「カフェデート、してみたかっ、」
「行きましょう。もう、仕方ないなあ」
「いいの? 」
「はい」
「やった。久しぶりのお出かけだね」
『お出かけ』って何だよ。かわいいな、オイ。好き、すき。大好き。
「好きです、悠さん」
「え、今? うん。ありがとう、俺も大好き」
「ぎゃー」
「わ、びっくりするなぁ、どうしたの」
「死にかけただけです」
あなたが、好きすぎて。私は『好き』って言ったのに『大好き』って言ってくれる。私はこんな悠さんに弱い。勝てる気がしない。ていうか、勝つ気もないのだ。
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