第2話 side runa

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研修中の短い休憩時間 「宮司さんって言いにくいですよね」 中野が言った。確かに、呼び難い。 「あー、それ。みんな言うんだよね。だから、だいたい“宮さん”って呼ばれてる。他に宮がつく人いないし」 「なるほど」 「あ、でも何て呼んでくれてもいいよ」 「……何て呼ばれてるんですか? ……彼女さんに……」 そこに私が入った。 良いだろう、上原さんも谷川さんもトイレだ。 「……そのまま……悠人(はるひと)」 そう言った。知りたかったのは、まだ彼女がいるかどうか。別れて……ない。当然か。彼女って言ったのに否定しないから、結婚もしてないのか。爽やかに笑う彼に 「じゃあ、(はる)さん」 そう言った。 宮司さんも、中野も固まったけど…… 「何て呼んでもいいんですよね? 」 笑ってそう言った。彼女と同じ呼び名は嫌だったから。他の人とも。 「はは、了解」 彼は爽やかな笑いではなく、苦笑いだったけど。もれなく、中野も。 それでも悠さんは、他の3人と私を区別することもなく、接してくれた。まぁ、すぐに諦める。もしくは冷めると思っていたのだろう。それは中野もで、私ですら、そう思っていた。 総務の女性は 【綾さん】おそらく、女性の中では一番年上。 柔らかい物腰だけど……絶対に要注意人物だ。ただ、悠さんに対して恋愛対象(そーゆーの)はないから安心した。なぜ彼女だけ下の名前なのか、分からないけど。聞くタイミングも逃し、そのままだ。 【谷川さん】同期入社。受付メインの総務だ。受付のイメージ通り可憐なタイプだけど……うん、大丈夫そうだ。大学から続いている彼氏がいる。 【三井さん】こちらは既婚者。 【安部さん】こちらも、受付メイン。害はなさそうだ。感じもいい。 【長谷川さん】サバサバした人。こちらも大丈夫……。 経理部も同じフロアにある。うーん……今のところ無害だな。 まずは、早々にチェックした。 悠さんは、彼女に夢中だから他の女性を見ないだろう。ましてや、こんな狭いところで手を出す人ではない。だけど、把握しておきたかった。 ライバルは少ない方がいい。 私が……土俵に上がれていないんだけど……ね。私のこういう所が男性から疎ましがられ、女性から敵視されるんだろうな。 わかってる……。 人間関係は物凄い苦手だった。
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