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『怪異! 都市に巨大生物現る!』
『平和の危機か? 怪獣進撃す』
マスコミはセンセーショナルな見出しで大衆の不安を煽った。
現時点では怪物による死傷者は出ていない。
だが放置すれば甚大な被害を及ぼすであろうことは明らかだ。
政府は対応に追われた。
前代未聞の脅威だ。
ただちに軍が組織され、討伐に向かった。
「現在、正体不明の生物は12番区を南に移動中」
「この速度ですと2時間後には港の発電所群に到達してしまいます。そうなっては――」
取り返しのつかない事態になるだろう。
「その前に撃破する。航空隊は先行して奴の前に回り込め。ただしまだ攻撃はするな。ポイントAに来るまで待機だ」
作戦が開始された。
正体不明の怪物の能力は未知数だ。
あらゆる状況を想定して軍は爆撃機に戦闘ヘリ、戦車、ロケット砲と惜しみなく戦力を投入した。
都市部と港の間には平原が広がっていて、人家の類も殆どない。
進路を予測した軍からの勧告で住民は避難を終えている。
怪獣を迎撃するには打ってつけの地形だ。
「謎の生物は依然、南下中」
「射撃部隊、配置につきました」
「その場で待機せよ。合図とともに一斉攻撃だ」
「怪物がポイントAに到達しました!」
「よし、攻撃開始!」
爆撃機が怪獣の背中に爆弾を投下した。
戦車が火を噴き、ロケットが乱れ飛ぶ。
突然の攻撃に怪獣は唸り声をあげた。
苦しそうに全身を震わせ、前足の爪を地面に食い込ませている。
「効いているようだ。攻撃の手を止めるな」
攻撃機からのミサイルが雨のように降り注ぎ、怪獣の背を焼いた。
間断ない戦車隊の砲弾は巨大な足に食い込んだ。
地上、空中からの容赦ない攻撃は十数分に及んだ。
着弾し、炎に包まれるたびに怪獣は咆哮する。
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