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スーパームーンに手を伸ばして
年に一度のスーパームーンが見られるらしい。そんな噂を楓が持ってきたのは、放課後、自宅に帰って暇を持て余している時だった。
『スーパームーンって何?』
と、私がLINEメッセージで聞くと、すぐに返信が来た。
『なんか、すっごい綺麗でおっきな満月らしいよ。パワーがもらえるって』
なんだそりゃ。
私が呆れているのも知らず、楓はさらにメッセージを送ってくる。
『ね、一緒に見てみない? あたし、すごくきれいに見えそうなところ知ってるんだー』
楓の得意げな顔が目に浮かぶようだった。
スーパームーン。確かにそれは、魅惑的な響きだった。もしかしたら見ると、何か運命的なものが変わるかもしれない。そんな期待を胸に、私は返信していた。
『いいかもね。で、それってどこ?』
その後、楓が返信して伝えてきた場所は、私が予想していなかった地点だった。
私こと森田香穂とその親友の中垣楓の住んでいる町は、いわゆる山の麓にあった。山から流れてくる小川が町のいたるところにあって、清涼な風と空気に満ちていることから、自然豊かな町として親しまれている。
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