第1章

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誰にも気づかれてはいけない。俊介にとっては優衣香を守るため…そして誰かにとってはもうひとつの事件の真実を解明するために実行する計画だ。 バラバラと音の鳴るトタン屋根。窓には多くの水滴がついていて、夜でもないのに暗い外の景色を見て、俊介は動き出す。 室内をあさって部屋を乱すと、薬箱を見つけた。 その中身をぶちまけると、梱包を解いていく。 錠剤やカプレットをバラバラにして部屋にまき散らし、優衣香の手を取って部屋を出た。 鍵を掛けることもせず、刻んでいた野菜もそのままにして。 手を引かれながら走る優衣香は、文句も言わずに駐車場までの距離を走った。 雨に濡れて艶のある髪に水が滴る。 車のロックを開けると助手席に優衣香を乗せ、支払いを済ませてすぐに車を発車させた。
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