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「そう、10万ももらってるのに今、俺の手元にはないの。おかしいと思わない?っつーかさ、俺のお年玉…母さん方に使われてんじゃないかな……?」
咲楽が肩を落としてつぶやいたのを見て、俊介は鼻で笑った。
「中学生の分際でそんだけお年玉もらっておいてよく言うよ。どうせ英彦さんの方のじいちゃんとばあちゃんからももらうんだろ?贅沢極まりないよ?俺なんて親父とお袋からもらったお年玉、合計五千円だったんだぞ?どうしたらこんな差が生まれるのか知りたいね」
自分の中学生の時の事を思い出し、咲楽との対応の違いを比較すると、苛立ちが生まれる。
子ども相手に何を剥きになっているのか…とは思うが、両親の対応の違いはあからさまだった。
「だからっ!それはいいんだよ!じいちゃんとばあちゃんからもらったお年玉はどうせ俺の手元には来ないから諦めるからさ!ねえ、叔父さん…俺に協力してよ」
明らかに頼んでいる態度ではないその口調に、俊介は目を細めた。その様子を見てマズイと思ったのか、急にソファの上で正座をし、深々と頭を下げる咲楽。
そんなことをしたってやるつもりはない。
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