第4章

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今日一日の事を思い出すように言葉を選びながら説明をすると、英彦も円華も真剣な表情で聞いてくれる。 「家の中は殺風景で…父親が帰ってる様子がなかった。だから、麻野井に聞いたんだ。いつから親父さんが帰ってないのかって。2、3日前から帰ってないって言って…その後泣き出した。俺に…抱いてくれって言ったんだよ、アイツ」 今の話だけを聞けば理解できない内容だっただろう。円華も英彦も顔を見合わせて、顔をしかめる。 「15歳になったら…父親に抱かれることになってるらしい」 その言葉を聞いて、初めて英彦は頭を抱えた。 「なんだ…それ……。なんだ、その父親っ……!」 怒りを露にして声を荒げると、円華が英彦の手を握る。 「あの子…身体中にあざがあったの……。服で隠れるようなところにいっぱい……」 さっき見た光景が頭から離れないのか、円華は英彦の手を更にきつく握った。 しかし、俊介の話は二人の想像を超える域に踏み込んだ。 「それだけじゃないんだ。アイツはもっと深い闇を抱えてる。だから助けてやりたいんだよ」
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