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俊介はソファから降りると、床に膝をついて頭を下げた。
「アイツをこの家の子にしてやって欲しい」
突然の申し出に二人は戸惑った。
「俊介君…それは急すぎるよ。まずは警察を通して虐待があった事を確認させなきゃ……」
そんな英彦の言葉を遮るように俊介は顔を上げた。
「警察はダメだ。アイツは…殺人事件に巻き込まれた可能性がある」
「え……?殺人事件?」
また円華と英彦が顔を見合わせる。
「父親に命令されて遺体を埋めるための穴を掘らされたらしい。その記憶がアイツを苦しめてる」
そんな告白を聞いたら、パニックになったのは円華の方だ。
顔を歪め、涙を流して頭を抱えながら、
「なんなの?そんな事…現実に起きるわけ無いじゃない!あの子…虐待でおかしくなっちゃったんじゃないの?遺体を埋めるなんてっ!」
そう叫んだ。
声を荒げるからバスルームにいる優衣香にも聞こえるんじゃないかと俊介の背中に緊張が走る。
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