編集前記

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資本主義の崩壊、それは数百年前のこの街で起きた。 その歴史の1ページはこの街のあり方を大きく変えた。 “生きていく為にお金を稼ぐ” 悠久の時の中で長く当たり前とされた事はとある1つのシステムとも呼ぶべき発明によって過去の遺物となったのだ。 働くという枷が無くなった住民は退化にも近い進化を遂げた。 縛るものが無くなったらどうなるか、簡単なことである。 皆が千差万別、己が望むことだけをするようになった。 音は飛び交い、筆は止まらず、身体は乱舞し、思考は深く深く潜っていく。 技術は休むことなく磨かれ続け、アイデアは湧くままに形を与えられる。 天井は見えず、国は恐るべき速度で分かりやすく混沌と化した。 興味や関心のベクトルが似たような方向を向いている者同士が路地毎に集まり、独自の色を出すようになるまでには大した時間はかからなかったと史実にはある。 やがてそれぞれは独立した国家であるが如く、各々が名を名乗り、大きな路地と路地の間の細道は双方が混ざり、溶けて、固まって、もはや何と呼べばいいかも分からない。 これは小さな世界をしがない記者の僕が放浪する物語。 君達には僕のお供をお願いしたいと思う。
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