中央庁より

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四方を海に囲まれた小さな島国、その何処かにある小さな街、僕はそこに住むしがない記者だ。 今日はこの街の中枢、中央庁に来ている。 この街の路地はこの中央庁を中心に四方八方、各々好きなように真っすぐ伸びたり、グネグネ曲がりくねったり、上がったり、下がったりしている。 宛ら生き物のようだ。 その路地と路地はこれまた好き勝手に飛び交っている細い路地と交わり、この街は分かりやすく迷宮が如き混沌と化している。 混沌の真ん中、台風の目、天を穿つように中央庁の塔は立つ。 細長い四角錐、そのてっぺんに近い位置に半重力システムによって浮かぶプラネタリーリングの様な環が大中小と3つ、周りに広がる迷宮を見渡している。 整い過ぎたそのフォルムは周りから見ると、無機質にすら見える。 僕が今日ここに来たのは、入路申請をする為だ。 この街の路地は小さな街なりに無尽蔵だ。 路地を一本違えるだけで、そこには別世界が広がる。 何に重きを置くのか、その違いで路地は構成され、各々が独自に規則を定めている。 故に路地から路地へ移るには、一度中央庁に戻り、手続きを踏む必要がある。 一先ず、僕の住む路地の話でもしながら、窓口に向かうとしよう。
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