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「ありがとうございました!」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!
膨れ上がった人だかり、四方八方で弾ける拍手をラナは中心で浴びていた。
紛れもなく彼女は主人公だった。
各所にあるステージとは違い、ここは奇抜な時計台のベンチの横、はけること叶わず、ラナはギターをぶら下げたまま立っていた。
僕は人だかりの中で様子を見る。
女性が1人、ラナのもとへ歩み寄った。
ラナは驚いたのか、相棒のギターにしがみついて後ずさる。
「凄かったです、ラナさん!」
「へ!?あ、えと、ありがとうございます。」
ラナは覚束ない様子である。
「最初の2曲、枕ですよね?あたしも好きなんですよ!」
「え!?本当ですか!?」
小さな奇跡が起きた瞬間であった。
あるいは必然のかもしれない。
「お...お友達になって下さい!」
ラナはブンとお辞儀をした。
「もちろん、あたしは既にラナさんのファンですけど!ラナさんの曲、ステキでした!」
初対面の2人は握手を交わしていた。
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